マインドマップ

深掘りの加減とケン化度と溶解性のナゾ

ビデオ75で懸濁重合が出てきたので、特許件数や実験手順など調べているうちに、疑問が復習やさらなる疑問の連鎖を生じ、すっかり時間を費やしていました。

合成ゴムのところで、スチレンブタジエンゴムに興味を持って技術資料を読んでいた時、溶液重合によるスチレンブタジエンゴムが最近のブレイクスルーとして紹介されていたので、懸濁重合に関連して溶液重合や乳化重合について調べてみました。発明のタイトルから特許数が一番多いのが「懸濁重合」。「溶液重合」も合成ゴムがらみでとても気になりましたが、時間の関係で今回は懸濁重合だけ調べることに。

懸濁重合の実験の流れをイメージできず、You tubeの動画の各画面をキャプチャ―してノート作成。イメージできました。

あわせて懸濁重合の特許をいくつか読んでみました。

発明のタイトルだけで600件以上。ざっとみたところ、懸濁重合で使う分散安定剤の改良に関する特許が多かったです。

このあたり、以前やった合成ゴムのスチレンブタジエンゴムとすごくつながる!と思いました。

少しゴムのお話になりますが、スチレンブタジエンゴムは主にタイヤに使われる合成ゴムです。フランスのミシュラン社がシランカップリング剤を使ってゴムとシリカを化学的に結合させるという画期的な技術を開発した後、日本の合成ゴムメーカーによって、今度はシランカップリング剤を使うことなく、ゴムとシリカを結合させる溶液重合SBR(スチレンブタジエンゴム)が開発されました。SBRにシリカと反応できる官能基を導入したもので、変性SBRと呼ばれ、合成ゴムメーカー、タイヤメーカーの開発対象が変性SBRに移行してきており、興味深いテーマです。

スチレンブタジエンゴムのように、すでにどのメーカーでも使われている汎用性ゴムにこれまでと異なる官能基を導入する試みが面白いなあと思っていたのですが、今回学んだ懸濁重合の分散安定剤として最も使われるポリビニルアルコール(PVA)も同様に、変性ポリビニルアルコール(変性PVA)の特許が100件近くありました。

そこで、ポリビニルアルコールは以前も勉強しましたし、その製法である「ケン化」も以前勉強したので、復習もかねて特許を読みこんでみたところ、ある一点、どうしてもわからないところがありました。

結論は保留なのですが、少し書いてみたいと思います。

ポリビニルアルコールの構造

出典:日本酢ビ・ポバール株式会社

ポリビニルアルコールといっても、ビニルアルコールの重合体ではありません。ビニルアルコールはアセトアルデヒドになりやすいことからモノマーとして使うことができないため、代わりに下記のように酢酸ビニルをモノマーとして重合します。

生成されたポリビニルアルコールは、ケン化された後、一部酢酸基(図の黄色)が残っています。反応せずに残る酢酸基の割合が高い(ケン化度が低い)ものを部分ケン化型、酢酸基の割合が低い(ケン化度が高い)ものを完全ケン化型ということを今回知りました。

ケン化度が低い部分ケン化型(水酸基が少ない)は水溶性が低く、ケン化度が高い完全ケン化型(水酸基が多い)は水溶性が高いのだろうな、と思いながら企業サイトや明細書を読んでいたら、どれも逆の記載になっており、あれれ?となりました。

クラレ社の明細書には、「PVAはケン化度が高くなるに従って結晶性が増し、冷水に溶解しない結晶部分の割合が増す」と記載されています。

これはPVAの側鎖間の水素結合によって結晶構造となり、外側に疎水性部分が向くからなのかな・・・と思いましたが、それでも部分ケン化型(酢酸基が多い)で水溶性が高くなることがわからず・・・保留にしました。

出典:日本合成化学

今回のように”わからない”について、どこで止めるかが簡単ではありません。75はイオン交換樹脂がテーマのビデオなのに、まだこちらを調べられていないので、今回の疑問は保留としました。

ポリビニルアルコール、なかなか面白いので、マインドマップにしました。ケン化度や重合度によって溶解性や粘度が変わるんですね。特に興味があるのは、変性ポリビニルアルコール。異なる官能基を1つまたは複数導入して、既にあるポリマーを改良する、というやり方は他の化合物でもでてきそうですね。変性SBRも変性PVAも今後深掘りしたいテーマです。

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