新たな生体用合金 過酷環境への応用にも期待 -高エントロピー合金ー

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相変わらず夢の中にも化学が登場します。先日は英語の周期表を見て何か考えていました。これからやることを先取り!?

化学の基本知識を学び、ノート作成にかかる時間よりも、明細書を読む時間が長くなりがちですね。もう少し早めに切り上げたいと思いつつ、ノート作成が終わって特許検索するのを楽しみにしているせいか、つい気合いが入ってしまいます。ファンデルワールス力で面白い特許があったのですが、今回は初めて知った高エントロピー合金についてご紹介したいと思います。

結晶について調べている時に、「面心立方格子」「体心立方格子」「六方最密充填構造」が登場しました。そこで、いつものように特許の「要約」部分にどれくらい登場するか検索。

面心立方格子:138件
体心立方格子:109件
六方最密充填構造:43件

結構出てくるのですね。検索結果を眺めた時にどれを選ぶかで、自分の好みや興味がわかります。半導体が多い印象を受けましたが、日立製作所の「合金構造体」を選びました。

そこで、タイトルの「高エントロピー合金」を知ることになりました。

従来の合金は、ある1種類の金属をベースにして、そこに少量の合金元素を加えていました。高エントロピー合金は2004年に提案された概念のようで、一般に5種類以上の異なる元素をほぼ等原子数ずつ混ぜて作製された合金を指します。今回の特許では、アルミニウム、コバルト、クロム、鉄、ニッケルから構成されていました(他の元素を添加してもOK)。また、阪大グループが開発した生体用合金は、チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、モリブデンという組成でした。

高エントロピー合金のイメージ

出典:SpringerLink

↑は、面心立方格子構造ですね。


出典:Wikipedia

高エントロピー合金の論文は2004年にこの概念が提案されてから徐々に増え、2013年以降、急激に上昇しているようです。2016年には第1回国際会議が開催され、2回目は今年のようです。開催場所が台湾、韓国と2回続けてアジアであることから、アジアでの研究が盛んなのでしょうか。

日立製作所の高エントロピー合金は、主に超高熱環境下など過酷な環境にも耐えうる合金でした。これまでに開発された高エントロピー合金は、大型の構造体を製造する場合、元素組成分布や溶解速度、冷却速度にむらが生じてしまう問題があったため、今回の発明では、元素組成と機械的強度の均一性を高めた高エントロピー合金が提供されています。

耐熱性、高温強度、耐腐食性に優れるため、これまでの合金よりも、過酷な環境に対応できると期待されているようです。

興味深かったのが、阪大グループが開発した高エントロピー合金は、従来の生体用合金よりも強度が高く、生体適合性にも優れているようです。これは人工関節への応用が期待されているようです。

組み合わせる元素を変えることで、過酷な環境にも耐えうる合金になったり、生体親和性に優れた合金になったりするのが面白いですね。高エントロピー合金も今後、注目していきたいと思います。

日立製作所が開発した高エントロピー合金を使って三次元造形にも成功しているようで、実用化に向けて、今後の展開が楽しみです。

参考:https://www.hitachi-metals.co.jp/press/news/2018/n0417.html
特開2016-23351(日立製作所)

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