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ケンカするルイス酸とルイス塩基

先日の記事で、配位結合はルイス酸とルイス塩基の結合であることに感動したことを書きました。

これに関連する明細書を読んでいたところ、Frustrated Lewis Pair=FLPという文字が。

イライラしているルイスペア?

一体何だろう?ということで、この明細書を読んでみました。

図解化してみると、クイズのようだったのでご紹介します。

上の写真の左の化合物にご注目ください。この状態は、炭素原子を持つ化合物とAという化合物が配位結合した状態を表しています。窒素(N)原子に大きな置換基(ピンク)と小さな置換基がくっついています。これはエネルギーが低い時の状態。配位結合して錯体を形成しているので、安定しています。

これにエネルギーを与えると、窒素(N)原子と大きな置換基(ピンク)との間の単結合がクルリと回転し、大きな置換基(ピンク)がAの方へ近づき、Aを蹴飛ばしてしまいます(右の状態)。こうなると、Aは配位結合できる距離からさらに遠い所へ飛ばされてしまい、配位結合できなくなり、ルイス塩基とルイス酸として再び活躍できるようになります。この活動性を利用して、触媒として使いたいときはエネルギーを与え、普段はエネルギーを与えず、錯体として落ち着いていてもらうのだそう。

このように、酸と塩基両方の性質を持つ化合物のことを、FLPと呼ぶようです。

何がすごいのかしら?と思って読み進めると、二酸化炭素などの温室ガスの分解に使うことができること。さらに現在触媒として使われているルテニウムやロジウムは、将来枯渇するという問題をはらんでいるため、代替的な新しい触媒が求められているからなのだそうです。

化学の延長で読んでいた明細書がとたんに環境問題に変わりました。

この錯体を構成している、上の写真の炭素原子を持つ化合物がすごいらしいのです。Cに2本の結合とローンペアが書いてありますが、メタン(CH4)のように4本の結合を持っているのではなく、置換基を2個しか持たないのです。そして炭素原子上にローンペアが存在します。そのため反応性が大変高いようです(カルベンといいます)。

このカルベンを利用し、従来は高活性であるため不安定で、安定な状態で単離したり保存することが難しかったFLPを、条件を変えることで安定な状態で保存したり、必要に応じて触媒として機能させたりすることに成功したのが、この発明の主旨でした(JP2016-74633A by大阪大学・日本触媒)。

一見難しそうだな、と思ったのですが、発明というのは色々な組み合わせであったり、図解化すると(実験室では複雑な工程であっても)単純化できるんだな、クイズみたいだな、ということを最近感じます。無意識でまだ読めそうなものを選んでいるだけかもしれませんが。

FLPの触媒としての活性を高めるために、Aにはニトロ基などの電子吸引性置換基を持たせて、Aがルイス酸としてより反応できるようにされていました。ニトロ基などで置換することで、写真右で大きな置換基(ピンク)が向かってきたとき、Aがより飛ばされるようにサポートする役目、ということですね。

イライラしたルイスペアは、つまり、けんかしたり仲良くなったりするルイスペア、ということですね。

本当に面白くて、仕事をしたくありません(笑)

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