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トヨタの技術に注目!縁の下の力持ち 排ガス浄化に欠かせない触媒コンバータ

触媒と聞いて何をイメージするでしょうか?

触媒なんて、化学の内容で、見たくも聞きたくもない!という方、ちょっと待ってください。

そんな方にはこちらの記事がおすすめ。

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さて、本日お話する触媒は、私たちの生活にとても身近なものです。

 

それは自動車。

自動車にとってとても大切な触媒のお話です。

自動車を運転する人は、毎日この恩恵にあずかっているのですよね。

車の免許を持っていない私も同じく。タクシーやバスに乗ることがありますからね。

 

触媒は、自分自身は反応の前後で変化せず、反応速度を速めることができます。

 

例えば、水素と酸素を混ぜて、加熱しても水は生成されません。

しかし、銅(Cu)を入れて加熱すると、水が生成されます。

この時、銅は反応前はCu、反応中にCuoとなり、再びCuに戻っています。

Cu→Cuo→Cu

このように、反応の前後で自身が変化しない物質を触媒といいます。

触媒のおかげで、本来であれば高温で反応させなければならない反応も、低温で反応させることができます。

 

触媒の種類

触媒には、金属触媒、分子触媒、光触媒などがあります。

一見難しそうですが、いずれも触媒表面で起きていることは、次の図にまとめることができます。

①反応物が触媒表面に吸着

②触媒と反応物が反応し、別の生成物ができる

③生成物が脱離する

 

縁の下の力持ち「自動車排ガス浄化触媒」

自動車には厳しい排ガス規制があります。

 

自動車の排ガス成分は、窒素ガス、二酸化炭素、水蒸気、一酸化炭素(CO)、未燃焼の炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)などがあります。この中で、排出規制の対象となるのは、CO、HC、NOxです。

 

有害成分であるCO、HC、NOxを安全な物質に変換するために、触媒が使われています。

特に、CO、HC、NOxの3成分を同時に除去する触媒を、三元触媒といいます。

 

この触媒が入った装置を触媒コンバータといいます。

触媒コンバータはエンジンのそばや床下に設置されています。

出典:https://www.youtube.com/watch?time_continue=25&v=V95zMHJEmJo

なぜエンジンのそばに配置されるのでしょうか?

これはエンジンの熱を利用して触媒を温め、反応を進めるためです。

これは熱を効果的に利用していることになりますね。

しかし同時に、自動車用の触媒は、化学合成で使われる触媒よりもはるかに厳しい条件下での使用に耐え、かつ性能を維持しなければならないことを意味します。

触媒コンバータの構造

出典:https://www.pakwheels.com/blog/catalytic-converter/

これは触媒コンバータの構造図です。

有害成分であるHC、NOx、COが触媒コンバータに流れ込むと、害のないガスに変換されます。

具体的には、

NOx→NO2(二酸化窒素)

CO→CO2(二酸化炭素)

となります。

 

触媒コンバータ内部で起こる化学反応

触媒コンバータの中で起こる反応は酸化還元反応です。

出典:http://www.crypton.co.za/Tto%20know/Emissions/catalitic_converters.html

還元反応

2CO+2NO→2CO2+N2

2H2+2NO→N2+2H2O

NOxがNO2、N2に変換される、還元反応が起こります。

 

酸化反応

CO+O2→2CO2

未燃焼の炭化水素(HC)+O2→H2O+CO2

CO、炭化水素がCO2に変換される、酸化反応が起こります。

 

このように、触媒コンバータの中では酸化還元反応が起きています。

 

触媒コンバータの課題

触媒コンバータの貴金属触媒層には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)が使われます。

 

触媒コンバータの基材内部のセル壁面には貴金属触媒が塗布されており、
セルに有害ガスが流れ込むと、有害なガスが触媒面に吸着し、化学反応を起こすことで無害な物質に変換されます。

出典:https://www.science-art.com/image/?id=6384&pagename=Catalytic_converter#.XAH83eKYSUk

従来の触媒は、次のようにセル内部の断面積が均一なため、流速に違いが生じていました。

 

出典:https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/15121512

なぜ、周辺部と中心部とで流速に違いが生じるのでしょうか?

これは、壁面では壁面による摩擦によって、流れが抵抗を受けるためです。

一方、セル中心部では摩擦による抵抗がないため、流速が壁面よりも早くなります。

 

流速が部位によって異なると、排ガスの流れに偏りが発生します。

排ガスがたくさん通過する部位では触媒が多く使われ、排ガスの通過量が少ない部位では触媒が十分に使用されません。

この問題を解決するため、排ガスが多く通過する部位には、触媒材料を多めに塗布すればよいことになりますが、現在の技術では全てのセル壁面に一律に塗布せざるを得ません。

そこで、排ガスの通過量が少ない部位にも、排ガスの通過量が多い部位と同じ量の触媒材料を塗布する手段がとられました。しかし、これでは触媒材料の使用量増加につながり、コストアップしてしまいます。また資源が枯渇する問題も考えなければなりません。

 

そこで、トヨタは、セルの密度を部位によって変える、という発想のもと、流れの均一度を向上した触媒を開発しました。

 

出典:https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/15121512

上記のように、セルの密度を周辺部では低く、中心部では高くすることで、流速の均一度を向上させました。

触媒コンバータについて、そしてこの技術を知った時、なんて面白いのだろうと思いました。

そこで、今回は本技術に関するトヨタの特許をいくつかご紹介します。

 

トヨタの特許①

上記で述べた通り、セルの中央部と周辺部とで密度を変えることで、ガスの流速を均一にし、これによって触媒層に使われる貴金属全体を有効に活用することに関する技術が使われています。しかし、この技術は高い浄化性能が期待できる一方で、エンジン始動直後の暖機性が低くなってしまうという問題がありました。

 

そこで、特開2013-244438(発明の名称:触媒コンバータ)では、触媒コンバータの中央部と周辺部とで、貴金属の構成に違いを設けることで、暖機性に優れた触媒コンバータの提供を実現しています。

以下のように、中心部ではPd、Pt>Rhとし、周辺部ではRh>Pt、Pdとすることで、セル密度を部位によって変えることで生じる暖機性低下の問題を解決しています。

この違いが生じる理由について、明細書には記載はありません。各貴金属の特性を調べて、ヒントを得られれば、また追記します。

トヨタの特許②

次に、セル密度を調整することで流速を均一にするだけでは、触媒層全体を有効に活用できない、という問題を解決したのが、特開2014-200728(発明の名称:触媒コンバータ)です。

 

これは触媒層全体を有効に活用するためになされた特許です。

この特許でのキーワードは接触面積です。

 

従来の発明と違う点は2つあります。

1つ目は、セル密度を2層から3層にし、中央から周辺になるにつれ密度が低くなる構造にしました。

ここで、密度は中央領域が最大、中間領域が次に高く、周辺領域で最も低くなります。

2つ目は、各基材の長手方向の長さを変えました。

具体的には、周辺領域が最も長く、中間領域が次に長く、中央領域が最も短くなっています。

 

こにより、中間領域、周辺領域において、触媒層と排ガスの接触面積が増え、浄化性能が向上します。

 

私の考えるイメージ

基材の長さを変えることで、中央領域の流れが相対的に早くても、中間領域周辺領域の基材が長いため、排ガスと触媒層との接触時間が長くなると考えました。

このようにして、特開2014-200728(発明の名称:触媒コンバータ)では、基材全体の触媒層を十分に活用することを実現しています。

 

トヨタの特許③

次に、タンデム搭載された触媒コンバータの流速分布が不均一なため、触媒の活用が不十分であるという問題を解決したのが、特開2015-90139(発明の名称:触媒コンバータ)です。

先ほどまでは基材が1つでしたが、この特許では基材が2つ並べてあります。

タンデム搭載された触媒コンバータの従来のイメージ

出典:特開2015-90139

そこで、以下のように

上流側と下流側とで、セル密度の異なる基材が使用されました。これは従来技術として紹介されているものです。

出典:特開2015-90139

上図のように、上流側の基材K1では、中心部(K1a)の密度が高くなっていますね。

こうすることで、排ガスが周辺部(K1b)に流入し、次に下流側の基材K2の中心部(K2a)に流れやすくなります。

しかし、この場合、K1aに流入するガスの流れに対して圧力損失が高くなり、結果としてK1への排ガスの流れが阻害されてしまい、全体的に触媒コンバータへの排ガスの流入量が低下してしまう、という問題が生じます。

そこで、本発明では次のように上流側の基材の密度は均一にし、下流側の基材の密度を、周辺部は低く、中心部は高くしました(下図)。

ここで、先ほどの従来技術の図と比べると、2つの違いがあります。

まず先ほどの触媒コンバータと比べ、2つの基材のうち、1つの基材(上流側)はセル密度が均一なため、製造がより容易になりました。

次に、下流側の基材のセル密度を変えることで、流れが均一化されます。この効果が上流側の基材にも寄与し、上流側の基材においても排ガスの流速が均一化されるようなのです。

ここは私自身、完全に腑に落ちてはいませんが、次のようにイメージしました。

 

まず、既存技術の場合、

上流側の基材の密度が部位によって異なるため、圧力損失が生じます。

一方、今回の発明の場合、上流の基材では、セル密度が均一なため流速に違いは生じます。逆に圧力損失が生じづらいため圧力損失により受ける抵抗は小さくなります。

次に、下流側の基材で流速を均一化することで、その効果が上流側にも波及する、ということなのではないかと思いました。

苦しいイメージかもしれませんが、現時点ではこのように理解しています。

 

いかがでしたか?

時間の関係で、急ぎ足な記事になってしまい申し訳ありません。

自動車はこれまで遠い分野でしたが、「触媒、酸化還元、接触面積、流速」がテーマとなる触媒コンバータの特許明細書を読むのはとても楽しいものでした。

 

今回ご紹介した特許をマインドマップにまとめるとこんな感じです。触媒化学、なかなか面白そうですね。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

【参考図書】

触媒コンバータのこちらの動画がとてもわかりやすいです。

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